負の連鎖を断ち切るステップ
1.自分の正直な感情を出す
心の中にいろんな感情をため込んだ人はなかなか自立ができない。
それくらい自分の感情を表現するのは、大切なことなのである。
加藤諦三著『「だれにでも「いい顔」をしてしまう人』嫌われたくない症候群 PHP研究所 P54より引用
複雑な成育環境を生き抜いて大人になったママは、わが子を育てるにあたりどうしても困難なことがたくさん起きてしまいがちです。
その理由として、感情を感じずに大人になり、その感情が消化されないまま残ってしまっていることが挙げられると思います。
そのため自分が感じないようにしてきた感情を正直に出すことが、最初にやることです。
私の場合は「自分が正直な感情を感じずに生きている」ということにすら気が付いていなかったのですが、ホームのマンガにも記載したように、過去の記憶や感情が一気に噴き出すという「不思議な1週間」を体験したことがきっかけで、30代半ばにしてやっと気が付くことができました。
感情の調節障害の行き着く先は、なにも感じない状態、つまりは感情の麻痺です。ポジティブな感情を残して、ネガティブな感情だけを排除することはできません。すべての感情を感じないようにするしかないのです。
白川美也子監修 「トラウマのことがわかる本 生きづらさを軽くするためにできること」講談社 P21より引用
繊細な子どもは、親の気持ちに敏感です。自分が怒ったり泣いたりしても受け止めてもらえない、(中略)否定される、怒られるなどが繰り返されると、悲しみや怒りを感じないようにしてしまうのです。
武田友紀著 『繊細さんが「自分のまま」で生きる本~繊細さは幸せへのコンパス~』 清流出版 P67より引用
「頭の中が大爆発」が落ち着いてからも、生活していく中で折に触れて色々な感情や気づき(主に育った家庭についての怒り)が出てきたので、とにかく以下のような方法で吐き出してみました。

感情を吐き出す作業は、やっている最中は正直本当に苦しいです。一気にやると疲れてしまうし、日常がおろそかになるので、時間もかかります。
でもやったらやった分だけ、私の場合はすごく楽になりました。
専門家の助けを借りる
私は①臨床心理士の先生、②気功師の先生、③セラピストの先生など、専門家の先生のお世話にもなりました。いずれも私が体験したできごとを話し、アドバイスをいただきました。
いちばん最初に行った、①の臨床心理士さんとのカウンセリングは私にとってとても影響の大きいものでした。
わりと遠慮なくズバッと指摘してくれる先生だったので(笑)、私は自分の自己愛の強さ、私の生まれた家族に起こっている悲しい連鎖について気がつくことができました。
③のセラピストの先生によるグループセラピーは現在も時々通っています。身近に起こる問題について話すことが出来る、ほっとできる場所です。私の中にある気づかなかった考え方のクセなど、様々な気づきを与えてもらっています。
信頼のおける人に話す
夫や信頼のおける友人、専門家の先生(詳細は下記)に聞いてもらったりして、過去の出来事について話を聞いてもらいました。
育った家庭の家族に直接話したこともありましたが、話してもお互いにいい気持ちがしないと感じたので、他の方法のほうが有効だなと私は感じました。
紙に書く
とても有効だったのが、溢れてくる感情や気づきをそのままノートに書き出すことでした。ネガティブなことも怒りも、そのままノートに吐き出しました。

枕を叩いて叫ぶ
こちらもかなり効果あり。
うさぎのぬいぐるみに八つ当たりをするネネちゃんのママを想像するとわかりやすいかと思います(笑)

過去の悲しいことや悔しいことを思い出し、枕を相手に心ゆくまで怒りを発散する方法です。
恥ずかしがらずに、「こんな言葉を言ってもいいものか」などと自分を止めることなく、その時に沸き上がった素直な気持ちで思いっきり叩くというのがポイントだと思います。
※家に誰もいないときにしましょう!(誰かいたら間違いなく心配されてしまうので)

とにかく、このステップ1の「吐き出す」という行為がとても重要であったと感じています。行う前と行った後では、自分の見ていた世界ががらりと変わりました。
専門家の方の力をお借りするのが安心です。
2.育った環境について知る
私はカウンセリングを受けた際、臨床心理士の先生より私の育った家族が「機能不全家族」というものであると知りました。
(前略)心に深い傷を負ったアダルトチルドレンを生みだす家族などで、親としての機能を果たしていない家族を機能不全家族と呼ぶ。
子どもの頃に体験した親との関係が、大人になったときに強く影響を及ぼし、その子供に対して親と同じようにふるまい、次の世代へ伝播する傾向があるといわれている。
中央法規出版 精神保健福祉用語辞典 P91「機能不全家族」より引用
私は頭の中の大爆発を起こす前は、「不安定な環境で育ってきた」という自覚がありませんでした。「色々なことがあるけれども、両親は私の事をちゃんと考えてくれているはずだ、愛してくれているはずだ」とかたくなに信じていました。
そしてどんなに理不尽なことがあっても、「親や家族を憎んではいけない」という信念に縛られていました。
しかし、ステップ1で感情を吐き出したことにより、物事が客観的に見えてきて、私は自分の家庭の問題を理解することができるようになってきました。
自分と自分の親、祖父母の代、親戚まで検証することによって、親が子を支配していたり、子が親の情緒面の面倒をみているという関係が繰り返されていることがわかってきました。
ここで学んだ大切なことは、

これを認めることは、とても辛かったのですが
「自分の親は、自分の子どもを愛することができるほど、成長できていなかった」ということ、
ジョンブラッドショー著「インナーチャイルド 本当のあなたをとり戻す方法」NHK出版より引用
さらに、「子どもを愛することができない親から、今でも愛されようと必死になっている自分に気が付く」ことでした。
私の タイトルマッチの相手は この人じゃ ない
この人の 笑顔が 見たくて すり寄っちゃう 自分だ
コナリミサト著 「凪のお暇」6巻 秋田書店 P144より引用
苦しいですが、これらを認めることができるようになることで、私はずいぶん楽になりました。
3.ストレス源から離れる
次に行うことは、ストレス源から離れることです。
自分が嫌だと思うもの、自分にとってストレスとなるものから離れる、距離をとるということは、どうやら健全に成長した人にとっては自然に身について行える行為のようです。
でも、同じ屋根の下に住む家族がストレスを慢性的に与えてくるという環境で育った場合、その家族とうまく関わるということが死活問題となるので、上手に距離を取ることができません。
私の場合は、結婚してからもなお頻繁に電話をかけたり会ったりしようとしてくる母と姉から離れるということを行いました。
姉は、妹がもう自分の話を従順に聞かず自分の思い通りにならないことがわかると、私を責めながらもあっさりと音信不通になりました。
母は、私の子どもの世話を手伝ってくれるという意味で肉体的には助かっていたのですが、会うたびに精神的に寄りかかってこられているのを感じたり、発言に傷つくことが多々あったので、手紙にて「してほしくないこと」をはっきり伝えたところ、程よい距離を置くことができるようになりました。
負の連鎖を断ち切るステップ(後半)へ続きます