
「母」を知って、もっと幸せなママに。「にわとり印のごきげんブログ」
作成者のNikoです。
私が「母」について知る過程でいちばん影響受けた本です。
罪悪感を感じるタイトルかもしれませんが、読んでいくうちに、
「母を非難するのではなく、理解する」「あなた自身を愛するだけでなく、母親を愛することも学ぶ」というこの本の趣旨がわかってくると思います。
キャリル・マクブライトさんの、「毒になる母ー自己愛マザーに苦しむ子供」です。

「毒になる母ー自己愛マザーに苦しむ子供」ってどんな本?
「自己愛マザー」を持つ娘のための本
何でもかんでも自分が重要。常に自分の考えだけが正しいと思い、それを押し付ける。
子どもに充分な共感と愛情を表現することが出来ない。
そんな母親をこの本では「自己愛マザー」と呼んでいます。

この本は「自己愛マザー」のもとに生まれた娘のために作られた本です。
「自己愛マザー」の娘は、相手の言動に過敏に反応し、人目が気になり自分に自信がもてないなどの問題を多かれ少なかれ抱えることになります。
そして自身が子どもを持った後に、同じように「自己愛マザー」になってしまう可能性があるのです。

目をそむけたくなるような、恐ろしい話です・・・
この本は「自己愛マザー」についての理解を深めるとともに、「自己愛マザー」の娘が「自己愛マザー」にならないように導いてくれる本です。
娘がいつまでも被害者の立場にいるのではなく、責任をもって自分の人生を歩んでいくことを応援してくれます。

そのために娘自身の自己愛傾向についても述べられており、子供に連鎖させないためのヒントも沢山書かれています。
ちなみに「自己愛マザー」の程度は、自己愛性パーソナリティ障害といえるレベルの人から軽度な人まで幅広いようですが、どのレベルの母親を持つ娘にもきっと役に立つヒントがあると思います。
作者はキャリル・マクブライトさん
「毒になる母ー自己愛マザーに苦しむ子供」の著者は、アメリカのコロラド州で公認心理士をされている、キャリル・マクブライドさん。日本語訳は江口泰子さんです。
キャリルさんご自身が「自己愛マザー」の娘として生きてきた経験を持ち、長年「自己愛の強い親に育てられた子どもたちの調査・研究にたずさわっています。
本書を読みながら、どうかわたしと一緒に座り、わたしと語りあい、ともに泣いてともに笑ってほしい。わたしを案内役に、あなたの負の遺産に向きあっていただきたい。
キャリル・マクブライド著 「毒になる母ー自己愛マザーに苦しむ子供」P7より引用
この本の構成
この本は序文と末文のほか、第1部~第3部で構成されています。
全266ページです。
イメージをつかみやすいよう各章のタイトルを下記に引用させていただきます。
はじめに
第1部 自己愛マザーの何が問題か ①あなたが背負っている重荷 ②母と娘の「空っぽの鏡」 ③母親の自己愛の特徴 ④父親の姿はどこに?ー自己愛マザーが支配する家庭 ⑤イメージがすべてー可愛い顔でにっこり笑いなさい
第2部 自己愛マザーの娘たち ⑥わたしは必死に頑張った! ⑦必死に頑張って、なんの意味があるの? ⑧恋愛関係におよぼす影響 ⑨助けて!わたし、母のようになりたくない!
第3部 回復の5つのステップ ⑩回復のステップ1 どう見えるかではなく、どう感じるか ⑪回復のステップ2 母親から心理的に分離する ⑫回復のステップ3 ほんとうの自分になる ⑬回復のステップ4 母親とどう向き合うか ⑭回復のステップ5 自己愛の連鎖を断ち切る
訳者あとがき
キャリル・マクブライド著 「毒になる母ー自己愛マザーに苦しむ子供」P7より引用
第1章に「自己愛マザー」がどんな人物かという説明と、母親の自己愛度のチェックリストがあります。
また、自己愛の強い母親とその娘に多く見られる10個の問題「自己愛マザーの10本の毒針」や、著者の心理療法士としての経験から導き出された自己愛マザーのタイプ分け「自己愛マザーの6つの顔」も参考になる興味深い話です。
この本のポイント
自己愛マザーの子育て
自己愛マザーの娘は、次のどちらかの方法で育てられると話します。
- 著しい過保護➩「娘を呑みこむ母親」
- まちがった放任主義➩「娘を無視する母親」
この2種類は正反対のようですが、娘へ与えられる影響は同じで、大人になってからも自分に自信が持てない大人になってしまうようです。
そして娘は以下のように成長していくと語られています。
「頑張りすぎる娘」か「自己破壊する娘」へ
キャリルさんの経験上、自己愛マザーに2人の娘がいるとき、2人はたいてい正反対に成長していくといいます。
常に成功を追求する完璧主義者の「頑張りすぎる娘」か、無意識に自分とその人生を破壊しようとする「自己破壊する娘」です。
そして恋愛においても依存/共依存関係を作り出しやすいといいます。

娘が母親から独立して自分の感覚を大切にしていくことで健全な人生を歩んでいける、とキャリルさんは語り、そのためのヒントをこの本の後半に詳細に書かれています。
正反対の子育てをする危険性「カギは中間地帯」
キャリルさんは、「母親のようになりたくない!」と思う一心で、正反対の子育てをしてしまうことにより、結局同じようなパターンを生み出してしまう危険性を語ります。
例をあげよう。あなたの自己愛マザーは子どもを呑みこむ母親だった。そこであなたは子どもを窒息させる母親にだけはなるまいと誓い、正反対の態度をとる。すると、あなたの子どもは自分が無視され、大切にされていないと感じる。
キャリル・マクブライド著 「毒になる母ー自己愛マザーに苦しむ子供」P151より引用
こういった匙加減はとても難しいけれど、カギは「中間地点」を見つけることであるとキャリルさんはいいます。この「中間地点の見つけ方」については、この本の第3部に詳しく書かれています。
※同様の問題について書かれたこちらの記事もよろしければどうぞ↓
回復の5つのステップ
この本の第3章では、「自己愛マザー」の娘が回復するための5つのステップについて記されています。
ひとつひとつ時間がかかるうえ辛いワークもありますが、行う価値があるものです。

このブログで作成中の「母を知るプロセス」でも、一部参考にさせていただいています。
キャリルさんの提唱する「回復のステップ」は以下の通りです。
1 母親の限界を受け入れ、自分が望む母親をもてなかった事実を深く嘆き悲しむ
2 母親から心理的に分離して、ネガティブなメッセージをポジティブなメッセージに再構成する
3 自分自身のアイデンティティ、感情、欲求をもつ
4 健全な方法で母親とつきあう
5 自分自身の自己愛傾向に取り組み、負の遺産をわが子に受け渡さない
キャリル・マクブライド著 「毒になる母ー自己愛マザーに苦しむ子供」P166より引用
上記のそれぞれのやり方について詳細が書かれています。
読んでみての感想
私が頭の中の大爆発を起こしたとき、爆発で出てきた記憶の多くが母親に起因するものであることに気づいて購入したのがこの本です。
当初は自分の母親が「自己愛マザー」とは思いたくなかったのですが、読めば読むほど自分の母親や自分と重なっていることに驚きました。
特に6章の「わたしは必死に頑張った!」や、
12章の自己愛マザーの娘が感じる「しぼむ」現象(幼少期の傷に触れるようなできごとに大人になってから遭遇すると、実際の状況以上に本人の中で気持ちがしぼんでしまうこと)に関しては、共感の嵐でした。
「母」を変えるのではなく、「母」を理解し、「自分」の行動を変える方法が、第3部で詳しく書いてあります。
そしてこの本の大切なところは、自己愛マザーの娘が「自分の自己愛」についても向き合うこと。そのために、「あなたの自己愛傾向を探るリスト」もついています。
耳が痛いと思いながらもこの本を何度も読むことで、本当に救われました。
健全な自己と健全な母親業にとっていちばん重要な資質は、「人を愛する能力」と「共感を示せる力」だ。ほとんどの娘が、そのふたつの資質をもって生まれてきている。たとえ、もっと磨きあげる必要があったとしても。
キャリル・マクブライド著 「毒になる母ー自己愛マザーに苦しむ子供」P261より引用

↑子育てでくじけそうになるとき、特にこの言葉には何度も勇気づけられます。
「自己愛マザー」の娘であると感じている人に、とてもおすすめです。
【中古】 毒になる母 自己愛マザーに苦しむ子供 講談社+α文庫/キャリル・マクブライド(著者),江口泰子(訳者)
最後までお読みくださりありがとうございました!
