『ふりまわされない自分をつくる「わがまま」の練習 心の中に線を引けば全部うまくいく』(谷地森久美子さん著)のポイントと感想

おそらくエンパスである私は、他者との「境界」の引き方がすごく苦手です。

でも最近の人間関係において

他人との「境界線」って大事だ!なめてかかったらアカン…

と改めて思うような残念な出来事があり、そんなときに出会ったのがこの本です。

『ふりまわされない自分をつくる「わがまま」の練習 心の中に線を引けば全部うまくいく』ってどんな本?

他人との上手な「境界線の引きかた」を教えてくれる本

ふりまわされない自分をつくる「わがまま」の練習 心の中に線を引けば全部うまくいく』は、2020年3月に株式会社KADOKAWAより初版が発行された書籍です。

この本でいう「わがまま」とは、傍若無人に周囲を振り回すようなものではなく、「ありのままの本当の自分でいること」「本当の自分でいることを自分に許すこと」を指しています。

そして、「わがまま」になるカギが「心の境界線」を上手に引くこと。

この本ではその「心の境界線」の引き方について、詳しく説明されています。

タイトルの「わがまま」という言葉のインパクトが強いかもしれませんが、言い換えれば「上手な境界線の引き方ノウハウ本」です!

作者は公認心理士の谷地森久美子さん

ふりまわされない自分をつくる「わがまま」の練習 心の中に線を引けば全部うまくいく』の著者は、公認心理士・臨床心理士でいらっしゃる谷地森久美子さん

教育、医療、産業の分野において経験を積まれ、30年間に4万件に及ぶ相談を受けたのちに本書を書かれています。

著者の谷地森久美子さん  「公認心理士・臨床心理士 谷地森久美子の公式サイト」プロフィールより引用

この本の構成

この本は序文と末文の他、第1章~第5章で構成されています。イメージをつかみやすいよう、各章のタイトルを下記に引用させていただきます。

第1章 境界線を引いて、「わがまま」に生きる

第2章 「わがまま」になって自分を取りもどす

第3章 「わがまま」じゃないから 他人の境界線を侵害してしまう

第4章 「偽りの自分」が生まれた理由。 生きづらい大人が幸せになる「3つの鍵」とは?

第5章 本気で自分を生きるには

株式会社KADOKAWA『ふりまわされない自分をつくる「わがまま」の練習 心の中に線を引けば全部うまくいく』目次より引用

筆者のカウンセリング事例がとても多く紹介されており、それらを通して心理学的に大事なことを教えてくれます。

事例の後に「わがままの練習」として具体的に心の境界線をひく方法も示されています。

この本のポイント

良い「境界線」のイメージとは

この本の中では、人間関係を豊かにする「良い境界線」のイメージについてこう記されています。

境界線は自分を守るべき大事な境界であって、国境のような一本の線(ライン)ではありません。そして、壁や鋼鉄のシャッターである必要もないのです。(中略)

それは例えば、風通しの良い、葉っぱが緑豊かに茂る「生垣」。(中略)

相手や状況に応じて、自分自身の「意志」で設定することが可能なものです。

株式会社KADOKAWA『ふりまわされない自分をつくる「わがまま」の練習 心の中に線を引けば全部うまくいく』P31より引用

谷地森さんのイメージで言うとそれは自分と相手の間にある生垣。

でも現実世界にあるそのままの生垣というよりは、そのまま顔を見て話ができ、ドアのような機能もついていて自由に行き来できる生き物のようなものをイメージすると良いそうです。

上手な心の境界線の引き方の練習法を学べる

この本のポイントは、事例紹介のあとに「では自分の場合どうすればいいのか」がわかる具体的な練習方法が示されているところです。

この「わがまま」の練習方法は10個紹介されています。

「わがまま」の練習① 他人の感情に振り回されないためには

「わがまま」の練習② 境界線の赤信号チェック

「わがまま」の練習③ アサーション(自分も相手も大切にする会話)

「わがまま」の練習④ 共依存に気づく

「わがまま」の練習⑤ 子どもへのかかわり方

「わがまま」の練習⑥ 理不尽な暴力から自分を守るには

「わがまま」の練習⑦ 壁を作る人と関係をはぐくむためには

「わがまま」の練習⑧ 「今、ここ」を感じる呼吸法

「わがまま」の練習⑨ 「今、ここ」を感じる発声法

「わがまま」の練習⑩ 幸せな3つの存在とリレーションマップ

株式会社KADOKAWA『ふりまわされない自分をつくる「わがまま」の練習 心の中に線を引けば全部うまくいく』目次より引用

例えば、「わがままの練習①」では、ついつい気を遣いすぎている自分に気が付くことや、相手のネガティブな感情を「それは私のものではない」と心の中で何度も唱える方法、普段からの他者への声掛けを変える方法などが具体的に紹介されています。

「中年の危機」の乗り越え方がわかる

この本の特徴は「境界線を引く方法」だけでなく、公認心理士・臨床心理士である谷地森さんが日常生活に役立つ心理学の知識をわかりやすく書いてくださっているところにあります。

特に、最終章「本気で自分を生きるには」の中の「中年期」についてのお話がわかりやすくておすすめです。

現代で言えば「中年期」は30代後半~60代半ばくらいとのこと。まさにその年齢に入った私にとって、役立つものであると感じました。

谷地森さんは「中年の危機」について、「突然遭遇する危機」「じわじわと表面化する危機」「危機に見えない危機」に分けて紹介しています。

そしてこれらの危機をきっかけとして「自分の内面をより良いものにしていく」ことを、ユング心理学のお話を通して説明しています。

現実を生きながらも自分の無意識に出会うこと、自分の弱さとも向き合うことが大切だとわかりました。

印象的だったのが最終章の心理学者ブレネー・ブラウンさんの言葉の紹介です。

「素手のままでは熱いものは熱い。とがったものが刺されば、痛いと感じる。もし分厚い手袋をはめていれば、リスクは少なくなるけれど、そのままでは、だれかの手をにぎりしめても、ぬくもりは伝わらなくなる」

株式会社KADOKAWA『ふりまわされない自分をつくる「わがまま」の練習 心の中に線を引けば全部うまくいく』P213より引用

私ごとですが、若い頃は分厚い手袋をはめすぎて、「頭の中の大爆発」ではそれがパンクしたのだなと理解できました。

感想

著者の谷地森さんがあとがきに「完成まで6年かかって生み出せた」と書かれている通り、境界線を引いて「わがまま」に生きる方法や、役立つ心理学の知識などが本当に「みちっ」と詰まっている本であるように感じました。

育児の「ふつうではない」辛さ(赤ちゃん部屋のおばけ)、自分勝手な困った上司、白馬の王子様を夢見る女性、「永遠の少年」である男性などなど…事例がとにかく豊富で、どなたにもヒントを得られるエピソードがあるのではと思います。

個人的には子どもにスマホを持たせる前の「子どもと話し合うまえの下準備と我が家のルールづくり」がとても具体的で、これからの我が家に役に立つと思いました。

ふりまわされない自分をつくる 「わがまま」の練習 心の中に線を引けば全部うまくいく【電子書籍】[ 谷地森 久美子 ]

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